思春期のお子さんをもつ親御さんにとって、性行為にまつわる話って悩みどころですよね。
我が家の子供たちには小さいころから、プライベートゾーンの話や、赤ちゃんが生まれてくる状態を話していました。

経腟分娩や帝王切開での出産なども含めてです。
今回は、性行為(SEX)で気を付けるべきこと、スキンシップとの違いについて私の考えを書きます。
SEXでは感染症への理解が大切
私は、子どもがSEXなどの性行為関連の言葉を知ったとき、親が伝えるべきことは3つあると考えています。



その3つとは、感染症、出血、妊娠です。
個人的にですが、性行為で気を付けないといけないことのNo.1は、妊娠ではなく感染症だと思っています。
妊娠は気を付けるものではなく、性行為をすれば必ず可能性が生じるため、「注意して避けられるもの」とは言えません。
妊娠についての話はこちらの記事を参照してください。


出血についてもこちらにまとめています。


婦人科の医師の中には「感染症など怖い話ばかりを強調すると、人がスキンシップを避けるようになりかねない」と警告する方もいます。



スキンシップが大事という点は私も同感です。
ただ、病理医として強調したいのは、「スキンシップは角質層のある部分で思う存分やってほしい」ということです。
詳しく話していきましょう。
角質層と粘膜の違い
角質層と粘膜の違いを理解すると、なぜ角質層のある部分でのスキンシップが安心なのかが分かります。
角質層
手や腕など体の外側を覆う皮膚は、扁平上皮細胞から成り立っています。
膣や子宮の入り口、口の中や喉、舌の粘膜も同じ扁平上皮細胞ですが、ここで大きな違いがあります。
皮膚の扁平上皮細胞には角質層があり、細菌やウイルスが体内に入るのを防ぐバリアとして働いています。
粘膜
粘膜には角質層のようなバリアがありません。
角質層のない粘膜は皮膚よりも弱く、感染を受けやすいのです。
粘膜と粘膜のこすれ合いは危険
コンドームを使わずに「SEXしよう」と言うのは、「お互いに感染しよう」と言っているのと同じだと私は考えています。



粘膜と粘膜のこすれ合いは、それほど危険なのです。
手をつなぐだけでは感染しない菌やウイルスも、粘膜どうしが触れた瞬間に移り、体内に入ってしまうのが性感染症です。
性感染症は、体のバリア機能がない粘膜で起こるため、「よく洗えば大丈夫」という考えは成り立ちません。
もちろん、洗うことが感染予防にまったく役立たないわけではありませんが、性感染症のウイルスや細菌が体のどこに潜んでいるのかは完全には分かっていません。
どこにいるのか分からない以上、洗っても取り除けない可能性が高いということを知っておいてほしいと思います。
スキンシップのレベル分け
スキンシップの段階における安全性について見てみましょう。
- 手をつないでルンルン → 大いにやってください!
- ハグしてワクワク → 角質層レベルなので多いにやってください!
- キスしてドキドキ → グレーゾーン
- 唇と唇を合わせる→まだ角質層レベルなのでセーフ
- 舌を絡めるキス→角質層がないので要注意です
- SEXして好きな人と一つに → 十分な注意と準備が必要
世の中には、「SEXは運動と同じだから、不特定多数としても悪くない」という考えもあるようですが、そんなわけありません。



角質層がないから守ってくれないよ!と私は思います。
角質層のないレベルでのふれあいは、非常に危険を伴います。
だからこそ、相手も、機会も、限定しなければならないのです。
まとめ
性行為は、相手への思いやり、責任感、そして自分と相手の健康を守る知識が必要です。



私は性行為を否定したいわけではありません。
むしろ、正しい知識を持って、大事にしたい相手と、大事にしたいタイミングで迎えてほしいと思っています。
子どもたちが将来、健康で幸せな関係を築けるよう、今のうちから正しい知識を身につけてもらいましょう。