子どもから「なぜ人を傷つけてはいけないの?」と聞かれたとき、あなたはどう答えますか?
この質問は、子どもの道徳的な成長にとって非常に重要な瞬間です。
単に「だめなものはだめ」と答えるのではなく、一緒に考えてみましょう。
痛みは誰にでもある
まず子どもに伝えたいのは、痛みや悲しみは誰もが感じる共通の体験だということです。
自分がけがをしたり、意地悪なことを言われたりしたときの気持ちを思い出してもらいましょう。
その同じ気持ちを、他の人も感じるのだと説明することで、共感の基礎を築くことができます。
「○○ちゃんも転んだとき痛かったよね。お友達も同じように痛いと感じるんだよ」というように、具体的な体験と結びつけて話すと理解しやすくなります。
みんなで幸せに暮らすため
人を傷つけないことは、みんなが安心して楽しく暮らすための大切なルールです。
もし誰もが人を傷つけても良いと思っていたら、誰も安心して外で遊んだり、学校に行ったりできなくなってしまいます。
子どもたちが大好きな公園や学校が、みんなが優しくしあうからこそ楽しい場所になっていることを伝えましょう。
「お友達と仲良く遊べるのも、みんなが優しくしているからなんだよ」と説明すると、ルールの意味が分かりやすくなります。
人にはそれぞれ大切なものがある
一人ひとりに大切な家族や友達、夢や希望があることを教えましょう。
人を傷つけるということは、その人だけでなく、その人を大切に思っている人たちの心も傷つけることになります。
「○○ちゃんが悲しんでいたら、ママやパパも悲しくなるでしょう?みんな同じなんだよ」と話すことで、行動の影響の広がりを理解してもらえます。
自分も大切にされたい気持ち
子どもたちは本能的に、自分が大切にされ、愛されたいと願っています。
この気持ちは他の人も同じように持っていることを伝えましょう。
人を大切にすることで、自分も大切にされる関係が生まれることを説明します。
「優しくしてくれる人と一緒にいると嬉しいよね。みんなも同じ気持ちなんだよ」という風に、相互性の概念を分かりやすく伝えることができます。
強さの本当の意味
時には「強い人になりたい」という気持ちから、人を傷つけることが強さだと勘違いする子どももいます。
本当の強さとは、自分の気持ちをコントロールして、困っている人を助けることだと教えましょう。
ヒーローや好きなキャラクターを例に出して、「本当に強い人は、弱い人を守る人なんだよ」と説明すると、子どもにとって理解しやすくなります。
日常の中で教える
道徳は特別な時間だけに教えるものではありません。
日常生活の中で、人に親切にする場面や、思いやりを示す機会を見つけて、その都度話し合いましょう。
公園で転んだ子を助けた時、電車で席を譲った時、お友達と仲直りした時など、身近な体験を通して学ぶことで、より深く理解できるようになります。
親自身の姿勢
最後に、子どもは親の行動を最もよく見ています。
私たち大人が日々の生活の中で、人を大切にする姿勢を示すことが、何よりも強いメッセージになります。
完璧である必要はありません。時には失敗することもあるでしょう。
そんな時は素直に謝り、どうすれば良かったかを一緒に考えることも、大切な学びの機会になります。
まとめ
「なぜ人を傷つけてはいけないの?」という質問は、子どもの心が成長している証拠です。
この機会を大切にして、一緒に考え、話し合うことで、思いやりの心を育てていきましょう。
答えはひとつではありません。
子どもの年齢や性格に合わせて、継続的に話し合いを重ねることが大切です。