30歳になったら一度胃カメラを|病理医が教える胃がんから身を守る方法【結論編】

私は病理医として、毎日たくさんの胃の組織を顕微鏡で見ています。

胃がんは確実に減っていますが、ピロリ菌を胃に持っていたら超危険です。

私が声を大にして言いたいことは

「30歳で一度、胃カメラを受けてください」ということ

よりか先生

胃カメラを受けることで、あなたと家族の命を守れます。

この記事では、いつ、どんな検査を受けるべきかをお伝えします。

目次

30歳で胃カメラを勧める理由

なぜ30歳で胃カメラを勧めるのかですが、30歳までの除菌が胃がんを防ぐからです。

30歳までにピロリ菌を除菌すれば、男女とも100%に近い割合で胃がんを予防できるというデータがあります。

年代男性女性
30代までほぼ100%ほぼ100%
40代93%98%
50代76%92%
60代50%84%

若いうちに除菌すればするほど、胃がんのリスクは下がります。

なぜなら、ピロリ菌が引き起こす慢性炎症の傷跡がまだ深くないからです。

よりか先生

私には4人の子供がいます。子供たちが30歳になったらプレゼントとして胃カメラを受けてもらう予定です。

30歳の記念に胃カメラを」これは命を守るための投資だと思っています。

胃がんを防ぐ本当の敵は「慢性炎症」

ピロリ菌がいると、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こります。

この慢性炎症が、長い年月をかけて胃がんを引き起こすのです。

大事なのは「ピロリ菌がいるかどうか」ではなく、「慢性炎症があるかどうか」です。

除菌後も傷跡はすぐには治らない

ピロリ菌を除菌しても、慢性炎症の傷跡(萎縮性胃炎)はすぐには治りません。

だから、除菌後も定期的な胃カメラが必要なのです。

ピロリ菌を除菌したら終わり、ではありません。

ピロリ陰性でも完全に安心ではない

ピロリ菌がいない=完全に安心」ではありません。

ピロリ陰性でも、以下に当てはまる方は主治医と相談してください。

  • 喫煙者(食道がんのリスク)
  • 飲酒習慣がある人(特にお酒で顔が赤くなる人は要注意)
  • 熱いものが好きな人
  • 辛いものが好きな人

毎年受ける必要はありませんが、年1回の胃カメラをお勧めします。

上記リスクがなければ、3〜5年間隔で胃カメラを受ければ十分です。

ピロリ菌がいなくても胃がんになることがあります。

頻度は低いですが、気になる方は【深掘り記事】も読んでみてください。

ABC検査より「直接胃カメラ」が確実

ABC検査とは?

ABC検査(胃がんリスク層別化検査)は、血液検査だけで胃がんのリスクを予測する検査です。

A群(リスク低)からD群(リスク最高)まで判定されます。

病理医の実感としてABC検査には限界があります。

よりか先生

正直に言います。

ABC検査でB群・C群と判定されて胃カメラを受けても、実際に癌が見つかるのはB群で約0.2%(500人に1人)、C群でも約2%(50人に1人)程度です。

B群・C群と判定された人の98〜99%以上は、その時点では癌がありません。

これは、ABC検査が悪いわけではありません。

リスクを予測する検査」としては正しく機能しています。

でも患者さんからすると、

血液検査で引っかかる→胃カメラを受ける(不安)→結果、癌はない→「なんだったの?」

となるケースが非常に多いのです。

最初から胃カメラの方が一石四鳥

胃カメラなら

  • ピロリ菌の有無が分かる
  • 萎縮性胃炎(慢性炎症)の有無が分かる
  • 胃がんの有無が分かる
  • 食道・十二指腸も一緒に見られる

一石四鳥です。

よりか先生

これは病理医としての実感でエビデンスではありません。

でも、こういう「医師の実際の感覚」を知ることも、検診を選ぶ上で大切だと思っています。

バリウム検査は「わざわざ選ぶものではない」

バリウム検査(胃X線検査)は、集団検診では意味があります。

数百人・数千人規模の職場検診で全員に胃カメラを受けさせることは現実的ではなく、バリウムなら短時間で多くの人を検査できます。

職場の健診でとりあえず受ける。これはこれで、公衆衛生上の価値があります。

よりか先生

でも、自分で選ぶなら胃カメラ一択です。

バリウムで「何か変なところがある」と言われても、組織を取れません。

結局、胃カメラを受けることになります。

だから、わざわざバリウムを選ぶ理由はありません。

補足ですが、胃にいる菌はピロリ菌だけではなく、ピロリ菌以外のヘリコバクター(NHPH)もいます。

スイス菌やハイルマニー菌といわれるものです。

ただし、ピロリ菌よりは重要性は低いです。

詳しく知りたい方は、こちらも深掘り記事で解説しています。

苦しくない胃カメラの受け方を教えます

鼻と口どっちがいい?

鼻からの経鼻内視鏡であれば苦痛が少ないため、こちらをおすすめします。

鼻から(経鼻内視鏡)は苦痛が大幅に減り、嘔吐反射が少なく、検査中に先生と話せるメリットがあります。

でも、万能ではなく鼻炎がひどい人や鼻の構造的に通りにくい人はそもそもできません。

鼻が数日痛む人もいます(個人差が大きい)。

よりか先生

私自身は鼻からで全然大丈夫でしたが、家族は「鼻が痛すぎて無理」と言っていました。

鎮静剤は使う?使わない?

最近、鎮静剤をかけて「寝ている間に終わる」胃カメラが人気です。

楽で記憶に残らないメリットがあります。

よりか先生

私個人的には鎮静なしを推します。理由は3つあります。

  • 上手な先生なら鼻からで鎮静なしでも全然いけること
  • 何かあった時に自分で「痛い」と伝えられること
  • 自信のある内視鏡医は「まずは鎮静なしで」と言うこと

でもこれは私の個人的な考えです。

どうしても不安な人や過去にトラウマがある人は、鎮静剤を使ってもよいでしょう。

おすすめの受け方は、まず口コミや紹介で上手な内視鏡医を探すことから。

そして鼻炎がひどい人は最初から口からを選び、最初は鎮静なしで試してみることです。

本当に辛かったら次は鎮静剤を使えばいい。検査を受けることが一番大事です。

ピロリ菌検査を「保険で受ける」方法

ルート①:胃カメラから入る(推奨)

胃カメラを受ける→「慢性胃炎」と診断される→ピロリ菌検査(保険適用)→陽性なら除菌治療(保険適用)。

これが一番確実で、コストも手間も少ないルートです。

ルート②:ABC検査から入る(自費)

ABC検査(自費・3,000〜5,000円)→B群・C群・D群と判定→胃カメラ→慢性胃炎と診断→ピロリ菌検査・除菌(保険適用)。

ABC検査は自費ですが、その後は保険適用になります。

ルート③:自費でピロリ菌検査(あまり推奨しない)

ピロリ菌検査は自費でも受けられます。

ただし受けられるクリニックを探すのは結構面倒なうえに、陽性でも結局除菌のために胃カメラが必要になります。

よりか先生

胃カメラのルート①が、手間もコストも少なく、胃・食道・十二指腸も一緒に見られる点でおすすめです。

まとめ

30歳になったら一度胃カメラを受け、ピロリ菌がいるかどうかをチェックし、慢性炎症があるかどうかを確認してください。

ピロリ菌陽性だった場合は除菌治療を受け、除菌後の確認検査をして、その後も定期的に胃カメラを受けます。

慢性炎症の程度によって頻度は違うので、主治医と相談してください。

ピロリ菌陰性だった場合は、喫煙・飲酒・熱いもの・辛いものなど食道がんのリスクがある人は主治医と相談してください。

リスクがなければ3〜5年間隔で胃カメラを受けます。

よりか先生

毎年受ける必要はありませんが、完全にやめるのもダメです。

家族歴がある人は若い頃から胃カメラを受けてください。

特にスキルス胃がんの家族歴がある人は要注意です。

胃がんは、確実に減っているがんですが、ピロリ菌を持っている人にとってはまだまだ危険です。

30歳になったらぜひ一度、胃カメラを受けてくださいね。

よりか先生
病理医
病理医として、日々たくさんの「命」と向き合っています。このブログでは、乳がんやがん検診のこと、そしていのちの大切さについて、わかりやすくお伝えしていきます。
医師として、そして子育て中の母として、読者の方が少しでも安心できるような情報をお届けしています。
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