乳がん治療で正しい治療を選択しても後悔する?|病理医が教える患者力について

「正しい治療を選んだはずなのに、なぜか心が晴れない。」

そんな声を、患者さんから何度も聞いてきました。

医学的には何も間違っていない。

でも、毎日不安で、「全摘していたら…」と後悔してしまう。

よりか先生

その”モヤモヤ”の正体を、病理医の目線からほどいていく連載です。

こんな方に読んでほしいです。
  • 部分切除を勧められているけれど迷っている方
  • 「全摘という選択肢もあるのでは?」と感じている方
  • 医師から十分な説明がない気がする方
  • 不安を感じやすい性格で後悔したくない方
  • 術後の検査について具体的に知りたい方

次の手術説明の前に、ぜひ読んでください。

目次

部分切除と全摘で生存率は変わらない

まず、これだけは絶対に覚えておいてください。

部分切除でも全摘でも、生存率は変わりません。

部分切除(乳房温存手術)の10年生存率は95〜100%、乳房全摘手術の10年生存率は98〜100%です。

違うのは「局所再発率」です。

でも、局所再発しても多くは救済可能で、命に直結することはほとんどありません。

つまり、医学的にはどちらを選んでも「正解」なのです。

では何が違うのか?

それは乳房が残るか残らないか、放射線治療が必要か不要か、再発リスクの数字などです。

よりか先生

どちらを選んでも、あなたは生き延びますが「心が安心して生きられるか」は別問題なのです。

なぜ医学的に正しいのに後悔するのか

よりか先生

実際にあったケースから見ていきましょう。

ある患者さんは、標準的な部分切除と放射線治療を受けました。

医学的には何も問題ありません。

でも、彼女はこう語っています。

「手術が決まった時、『これで行きます』と告げられただけでした。
全摘という選択肢があるのか、ないのかも聞けず、なぜ部分切除なのかも分からないまま手術を受けました。
術後、痛みが続いていて再発じゃないかと不安です。
主治医に伝えても『大丈夫』と言われるだけ。
次の検査まで半年もあります。
全摘していたら、この不安はなかったのでは?と毎日考えてしまいます」

治療方針は医学的に正しかった。

診断も、手術も、放射線治療も、すべて標準的でした。

よりか先生

何が問題だったのでしょうか。以下のようなことが考えられると思います。

問題点
  • 選択肢を提示されなかった。
  • なぜその方法なのか説明がなかった。
  • 術後の不安に寄り添ってもらえなかった。
  • 自分の性格に合った選択ができなかった。
よりか先生

医療者側の「正しい」と、患者さんの「納得できる」は、必ずしも一致しないんです。

まとめ

先ほど申し上げたように医学書には「部分切除と全摘で生存率は同じ」と書いてあります。

それは正しいのですが、あなたが安心して生きられるかは、データだけでは決まりません。

不安を感じやすい性格の人、確証がないと信じられない人、毎日痛みを気にしてしまう人。

こういう人には、医学的に正しいだけでは足りないのです。

あなたの心が納得できる選択こそが、本当の「正解」です。

この連載では、そのための「患者力」を一緒に考えていきたいと思っています。

よりか先生

続きの記事はこちらです。ぜひ読んでみてください。

よりか先生
病理医
病理医として、日々たくさんの「命」と向き合っています。このブログでは、乳がんやがん検診のこと、そしていのちの大切さについて、わかりやすくお伝えしていきます。
医師として、そして子育て中の母として、読者の方が少しでも安心できるような情報をお届けしています。
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