実は医学部時代、私は結核菌に感染していました。
少し驚かせてしまったかもしれませんが、本当の話です。
私は医学部1年生のとき、ツベルクリン反応検査を受けて「陰性」でした。
赤ちゃんの頃と中学生のとき、2回もBCG接種を受けていたのにもかかわらずです。
よりか先生BCGが定着しにくい体質だったんでしょうね。
それから4年後。
医学部5年生で再びツベルクリン反応検査を受けたら、見事に陽性。
バーンと赤くなりました。
医学部の4年間のどこかで、私は結核菌に感染していたのです。



満員電車?大学の教室?バイト先?正直、どこで感染したのかわかりません。
幸い発症はしませんでしたが、私の体の中に結核菌が入り込み、免疫が反応した「感染」の状態になっていたのです。
1年生のときツ反陰性=結核菌に感染していない、5年生でツ反陽性=知らない間に感染が成立していた。
怖いですよね。
胸部X線は肺がん検査ではない
会社の健康診断で毎年必ず受ける胸部X線検査。
「肺がんを見つけるためでしょ?」そう思っている方、多いのではないでしょうか。



実は違うのです。
健診の胸部X線の主な目的は、結核の早期発見と集団感染の防止です。
職場での集団感染を防ぐために、毎年胸部X線が健診項目に入っているのです。
厚生労働省の検討会資料にはっきり書いてあります。
「結核以外の疾患をその対象疾患とすることは適切ではない。結核は職域で感染が拡大する可能性があり、健診で発見すれば有効な治療法があるため、健診を行うことの利益が高い疾患」
つまり、結核が主目的で、肺がんは「おまけ」です。



見つかればラッキーですが、それが目的ではありません。
健診の胸部X線では、早期の肺がんは見つかりません。
解像度が低く、小さな病変は見逃されやすく、心臓や血管に隠れた部分は見えないからです。
低線量CT検査、喫煙歴がある方はどうすべきか、そして「健診で胸部X線を受けたから安心」と思うことが危険な理由については、別の記事で詳しく解説しています。


結核は昔の病気という間違った認識
「でも結核って昔の病気じゃないの?」



そう思いますよね。
結核患者は低い水準ながら、今も確実に存在しています。
特に都市部では年間数百人単位で新たな患者が発生しており、高齢者や外国生まれの方の患者が増加傾向にあるのです。
結核は初期に無症状のことも多く、集団生活で広がる可能性があります。



私の医学部時代のエピソードも、まさにこれを証明しています。
都市部に通学した4年間で、私は気づかないうちに結核菌に暴露していました。
発病はしていませんが、これを「潜在性結核感染症(LTBI)」といいます。
痰に菌が出てくる前に発見できれば、隔離することなく内服薬のみで治療が可能です。
それでも、結核は今も身近にあるという現実を忘れないでください。
まとめ
健診の胸部X線は主に結核の早期発見と集団感染防止のためであり、肺がんの早期発見が目的ではありません。
もし肺がんが心配な方は、健診の胸部X線とは別に低線量CT検査を検討してください。



結核は「昔の病気」ではなく今も存在し、無症状の感染者が周囲にいる可能性があります。
厚労省の資料によると、わが国の健診での結核発見率は、諸外国がX線スクリーニングを中止したレベルをはるかに下回っています。
その結果、健診の胸部X線のあり方自体が見直されています。
実際、2005年以降は40歳未満の方は医師が必要ないと認めれば省略可能になり、全員一律ではなくハイリスク群に集中的に検査する方向に変わっています。
健診は「病気を見つけるため」だけじゃなく、「みんなを守るため」という公衆衛生の面もあります。
肺がんから身を守るために私たちができる対策についてはこちらの記事をお読みください。










