腸活で大腸がんのリスクは下がる?食物繊維で大腸がんにならなかったら世話はないという話

先日、インスタで食物繊維についての動画を見ました。

「短鎖脂肪酸ががん細胞の増殖を直接抑える強力なエビデンスがある」

「今の食事の食物繊維を倍にするだけで、未来の健康が劇的に変わる」

このような内容でしたが、たしかに嘘は言っていません。

でも病理医として、正直こう思いました。

よりか先生

それで防げてたら世話ないねんけど。

この記事は、その動画への批判ではありません。

病理医として、もう少し解像度を上げた話をしたいと思って書きました。

目次

食物繊維とがんについてのエビデンスの話

よりか先生

食物繊維とがんについてエビデンスのお話をします。

EPIC Studyが示していること

動画ではEPIC Study(欧州がん・栄養前向き調査)が引用されていました。

EPIC Study(欧州がん・栄養前向き調査)は、本物の大規模研究です。

結論はシンプルで、「食物繊維の摂取量が10g増えるごとに大腸がんのリスクが約13%下がる」というものです。

食物繊維が腸内細菌に分解されて短鎖脂肪酸(酪酸など)を作り、それが細胞レベルでがんの増殖を抑える方向に働くというメカニズムも研究されています。

食物繊維は良い。これは正しいことです。

「逆効果」という言葉の出どころ

動画の中で「急に増やすと今のあなたの腸内細菌の状態によっては逆効果になる場合がある」という話が出てきました。

よりか先生

少し立ち止まって考えてほしいところです。

EPIC Studyの主要な論文には「腸内細菌の状態によっては逆効果」という記述はありません。

むしろ一貫して「もっと摂れ」というメッセージです。

急に増やすとお腹が張ることがあるのは本当のことで、腸内細菌が一気に増えた食物繊維に適応しきれない一時的な反応です。

よりか先生

でもそれは腸内細菌の状態が悪いからではなく、単純に増やすペースの問題です。

本当に食物繊維が逆効果になるような人は、そもそも腸に器質的な問題がある可能性があるので食事より先に医療的な検査が必要な話になってきます。

腸内細菌叢の状況によって逆効果、という言い方はなんだかなぁと思ってしまいました。

まとめ

食物繊維をとることは、大腸がんのリスクを下げる。

これは、信頼できる研究が示している事実です。

よりか先生

実際にどの研究も一貫して「もっと摂ろう」と言っています。

ただ、食物繊維をとれば大腸がんを防げる、と言い切れるほど話は単純ではありません。

それで確実に防げるなら、世話はないのです。

次の有料記事では大腸がんについて深堀し、大腸カメラの有効性についてお伝えしています。

よりか先生
病理医
病理医として、日々たくさんの「命」と向き合っています。このブログでは、乳がんやがん検診のこと、そしていのちの大切さについて、わかりやすくお伝えしていきます。
医師として、そして子育て中の母として、読者の方が少しでも安心できるような情報をお届けしています。
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